【クルマ】ダイハツよ、何してくれたんだ

 当サイトにはプロモーション、広告が含まれます

皆さんこんにちは、シンです。

いきなりですが、ダイハツがやってしまいました。

今年4月に衝突試験の不正が明らかとなり、第三者委員会によるその後の調査で出るわ出るわ不正の雨あられ。
34年前から不正が始まり、計174件の不正が見つかりました。

【ダイハツHPのトップページ】

そんなこと露知らず(知れるはずがない)ライバル車との比較で悩みに悩んで、私は今年アトレーを買いましたよ。

www.mountain-camp-cycling.com

この不正の大ニュースを車内のテレビで知る複雑さよ。
アトちゃんは悪くないんだよ、アトちゃんは悪事を働く組織の被害車なんだよ。

 

アトレーに行われた3つの不正について

現行のアトレー〈S700V〉に行われた不正は現在明らかになっているところで3つです。
12月20日に出された第三者委員会の報告書の内容を見てみましょう。

 

衝突試験の前提条件として実施される試験における座席加工(不正加工·調整類型)

衝突試験の前提条件として実施される試験における座席加工(不正加工·調整類型)

ア 不正行為の概要

安全性能担当部署の試験実施担当者は、衝突試験の前提条件として実施されるヒップポイント試験において、ダミーのヒップポイントが、法規で要求される範囲の上限又は下限よりも数ミリメートル程度高く又は低くなり、法規で要求される条件を満たさなかったところ、座席シートは傷害値に直接的に影響する部品ではないため加工を加えても問題がないと判断し、審査官に無断で、1電動カッターやハサミで座席シートの一部を切り取ったり、シートに切れ目を入れたりするなどして着座位置を低くする、又は、2シートパッドの下にウレタンを敷いたり、シートに切れ目を入れてウレタンを挿入したりするなどして着座位置を高くするといった加工を加え、ダミーのヒップポイントが正規の位置に収まるように調整することで、衝突試験の前提条件が満たされるようにした。

本件は、不正行為を直接的に裏付ける試験データ等は見当たらないものの、関係者の供述の信用性を客観的な証拠との整合性等の観点から慎重に評価した結果、上記不正行為を認定した。

2023年12月20日 ダイハツ工業株式会社 第三者委員会報告書

衝突試験の映像とかを見ると必ず座っているダミー。
あれ適当に座らせてるだけじゃないんですね、ちゃんとダミーの搭載方法が事細かに定めてセッティングされていました。
足の位置も決まりがあり、骨盤なんて角度が22.5°±2.5°の範囲内と指定され、諸々の条件通りに座らせた時にダミーのヒップポイントが規定の位置にあることが求められます。

ただその通りにダミーを座らせると規定より高いまたは低いために上記の不正を働いたわけですね。
衝突試験結果の公平性を保つための前段階での不正ということです。

実際搭乗者の体格や座り方は皆違うので衝突事故の際に受けるダメージはそれぞれ、この不正があったからといって本来の事故で招く結果には大きく影響しないのでは、と感じます。

 

ABS装備車両における操作力及び制動初速度の虚偽記載(虚偽記載類型)

ABS装備車両における操作力及び制動初速度の虚偽記載(虚偽記載類型)

不正行為の概要

ABS(アンチロック·ブレーキ·システム)装備車両の試験(車輪ロック確認試験)において、操作装置に加えた操作力及び制動初速度に関し、試験成績書には、実際の実験データに基づく操作力及び制動初速度の数値を転記する必要がある。

しかし、法規認証室の試験成績書作成者は、1実験報告書には、法規に規定される操作力(ダイハツ ロッキー等に適用される制動装置の法規では500ニュートン、ダイハツ ハイゼット カーゴ等及びダイハツ ハイゼット トラック等に適用される法規では700ニュートン)に達しない数値が記載されていたにもかかわらず、法規に規定される操作力に達したことにするため、試験成績書に規定の操作力を上回る虚偽の数値を記載した。

加えて、ダイハツ ハイゼット カーゴ等については、2「低μ路→高μ路試験」の「非積載」の試験条件において、実験報告書には法規に規定される制動初速度(指定速度(時速50キロメートル)の98%以上の速度)を満たさない数値(時速48.6キロメートル)が記載されていたにもかかわらず、試験成績書に、法規に規定される制動初速度を満たす虚偽の数値(時速49.6キロメートル)を記載した。

原因としては、実験報告書記載の数値が法規やガイドライン規定の数値を下回る程度がわずかであると考え、再試験の必要性が乏しいと判断したためであると考えられる。

2023年12月20日 ダイハツ工業株式会社 第三者委員会報告書

この不正はABSの制動力が規定より弱いという実験結果が出ていたにも関わらず、高い偽りの数字を書いて提出したということと、その実験の際の車の速度が規定より遅い状態で行ったということでしょうか。

こうやって聞くとヤバそうに感じますが、ここからでは具体的にどれくらい数値を盛ったのかは分かりません。
数ニュートン盛ったぐらいなら影響はほとんどないと思いますが、大盛りだったら非常に怖い虚偽記載になります。
さすがにそんなことはないと思いますが・・・。

 

制動初速度の虚偽記載(虚偽記載類型)

制動初速度の虚偽記載(虚偽記載類型)

不正行為の概要

法規認証室の試験成績書作成者は、ABS装着車のジャンプアウト試験(ABS作動状態で粘着抵抗の低い路面(低μ路)から粘着抵抗の高い路面(高μ路)へ進入し、進入時の車両挙動を確認する制動装置試験)において、試験実施担当者から提出された試験データのうち、制動初速度が法規で定める条件(基準速度の98%)に達していなかったが、開発日程の都合上、再試験を実施する時間的な余裕がなかったため、提出された試験データとは異なる虚偽の値(法規で定める条件を満たす値)を試験成績書の制動初速の記載欄に記載して、認証申請を行った。

2023年12月20日 ダイハツ工業株式会社 第三者委員会報告書

これは濡れて滑りやすい低μ路面でABSを作動させてた状態で滑りにくい高μ路面に入った際の車の挙動を調べるテストだそうですが、その時の初速度が規定に満たないのにも関わらず、ちゃんと速度出ていましたと虚偽記載した不正のようです。

速度が出ていないのでそりゃ制動距離も短くなるでしょうし、挙動も抑えられるでしょうね。
これもヤバそうに感じましたが、さっきと同様どの程度盛ったのかですね。

 

今回のダイハツの不正で感じたこと

このようにアトレーに対して3つの不正をダイハツは働いたわけです。
走れば凶器になり、また一方で搭乗者を守る鎧にもなる車においてとても大切な試験を蔑ろにした行為は、自動車メーカーとして到底許されるものではありません。

決められたルールにたとえ疑問があったとしても、どのメーカーもそれを守っている以上はちゃんと守らないと公平ではありません。

おそらく設計・開発の段階でどのような結果になるかはかなり正確に割り出せるのでしょうね。
だから誤差程度に思える数値を改竄しても何ら影響することはない、バカ正直に申告して再試験で時間を取られて開発に遅れが生じる影響(上役に叱られる、評価が落ちる)の方が怖い、と思って不正に手を染めたわけです。

でもそれを許しちゃうと歯止めが効かなくなり、誤差程度の範疇が広がっていき、最終的に大きな事故につながっていく訳です。
まあ34年も前から続いているのだからとっくに歯止めは効かなくなっていたんでしょう。

その間に同業種である三菱自動車のやらかしとその後の悲惨な状況とか散々見てきたはずなのに。
こんな大企業で優秀な人材は多く集まっているはずなのに上役に倫理的感受性の高い人はいなかったのでしょうか。
そこが残念でなりません。

アトレーに行われた虚偽記載等に関してはその程度が分からないと何とも言えません。
再度試験を行って改めて安全上問題ないことを早急に公表してほしいです。
普通に乗ってる分には何も影響は感じないので、大袈裟に捉えず冷静でいようと思います。

それでは皆さん、Have a nice day !